スポーツで体を鍛えてらっしゃる方々も多いとは思いますが、30歳を過ぎたころから、お腹周りが気になるという男性の声をよく耳にします。お腹周りが気になるがゆえに、少しお腹周りにゆとりのあるパンツをお履きになるなど、陰では気配りをされているのかもしれません。しかし、サイズをアップするだけではお腹にはゆとりが出ても、人によっては股上に余裕が出すぎてパンツが下がってしまうことがあります。お腹周りが大きくなってしまうこと自体は問題ではありません(もちろん、あまりいいことではないでしょうが)。そうではなくて、その影響で下半身のシルエットが崩れ、スーツスタイル全体のバランスが悪くなってしまうことが問題なのです。スーツでは全身をスッキリ見せることが、好印象を残す鍵です。お客様とじかに接していて思うのですが、体型が変わってしまうことで、いままで着ていた服が着られなくなり、やがてファッションへの興味が薄れていってしまう方は非常に多い気がします。だからこそ、ひと工夫して、いまのあなたのベストバランスを考えてみてはいかがでしょうか?
PTAだ、音楽会だ、パーティーだ、お食事会だという生活に、ハイキングだ、山登りだといわれて、装いのパニックに陥ったように、すんなりとそれらしいおしゃれができなくて戸惑ってしまう。パンツ姿イコール楽で動きやすい、と考えてイメージと現実がすんなり溶け合うのは若いうち(いくつまでと限定するには格差があるので)、今の私は体形に自信のある日、キビキビと行動できる日のみのアイテムになっている。スカートのほうがどれだけ体形を補って楽なアイテムなことか。という事実は哀しいけれど仕方ない。パリからの列車で出会った奥様方は楽ならパンツ、カジュアルな上着ならジャンパー、そしてやはり布の帽子も日除けに、という図式が成り立ったのだと思われる。
スーツから拒絶を食らっているのは、女だけではない。生物学的には男であっても、ゲイやコドモもスーツとは相性が悪い。マイクーニコルズ監督の『バードゲージ』(一九九六年)という映画のなかに、ゲイとスーツの相性の悪さをはっきりと見せてくれるシーンがある。この映画の主役は中年のゲイカップル。「妻」アルバート(ネイサンーレイン)が息子の婚約者の両親の心証を損ねまいとして、ビジネスマン然とした紺のストライプのスーツ姿で登場しようとする。「彼女」は足を組んだり、いすに片肘をもたれかけさせたりして、あれこれと「男」のしぐさを決めてみせようとするが、それがかえって痛々しいほどに彼のセクシュアリティを露呈させてしまう。アルバイ卜も自覚するとおり、「ゲイがミエミエ」になるのだ。デザイナーのポールースミスはスーツを「額縁」と呼んだが、この額縁はけっこう残酷である。生物学的性は男で文化的性は女、というアルバートのような存在を道化に見せてしまう。だからゲイがスーツを着るときには、正統派スーツを思いっきり茶化して芝居がかった魅力を演出する。また、ジャニしスープリーグの友人は、「ジャニーズの子たちはスーツを四角く着られないから、スーツが似合わない」とこぼしていた。ジェンダーが男であっても、四角く構えることのできない男は、やはり正統派スーツとは相性が悪いのである。だから彼らはオーバーサイズのジャケットを素肌に着て、踊りながら「何気なく」肩やへそを見せてセクシーさを演出する。
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