東京・品川区にお住まいのOさんは、5年前に突然、脳閲塞で倒れ、車イスの生活を余儀なくされました。それまでの家は、1階にキッチン、茶の間、2階が寝室という和風の家で、夫婦2人住まいでしたが、車イスで暮らしやすいように、その翌年、リフォームされました。それをきっかけに、近所に別居中だった長男夫婦が2階に同居することになり、ひと安心です。玄関と浴室のみを共有するかたちです。設計にあたっては、奥さまといっしょに、入院し、その後の5ヵ月間通院していたリハビリテーション病院の主治医と相談しました。そのアドバイスを参考にしながら、本人や家族、そして私を交えて、じっくりと話しあい、プランニングをすすめました。その結果、次の部分を改造することにしたのです。「(1)2階の寝室を1階に移します。それまでのふとんの生活をやめ、ベッドをおきました。(2)廊下と部屋のあいだの段差をなくし、敷居をとります。(3)茶の間だった和室を、板張りのダイニングルームにします。寝室はカーペットにして、そのほかはすべてフローリング張りにしました。(4)ダイニングとリビングの境は、V字レールを埋め込み、引き違い戸にします。このため、寝室〜リビング〜ダイニング、寝室〜ホール〜廊下〜サニタリーといった移動も、車イスのままでスムーズに移動できるようになりました。車イスですと、ドアの場合は引くにせよ、押すにせよ、よけいな動きをしなければならなくなるので、引き戸のほうが便利なのです。お年寄りにも同じことがいえます。健常者は無意識のうちに動作していますが、お年寄りがドアを引いたり、押すときにはからだを不自然に後退させたり、足をふみこんだりしなければなりません。(5)洗面台を車イスで使用できるように広さと高さをかえ、車イスのまま洗顔できるようにしました。(6)トイレを広くし、中で車イスの方向転換ができ、車イスから便座への移動をしやすいようにしました。便器の左側に握りバーを設け、床から立ちあげて、からだの重みに耐えられるようにしました。また、入り口を折れ戸にしたのも、車イスを考慮してのことです。ツーウェイにしたのは、いうまでもありません。(7)浴室は改造しませんでしたが、シャワーの横に握りバーをつけ、座ってからだが洗えるように、背もたれつきの浴室用イスをおきました。
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